みえない不快な塊を解消する? ~半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

漢方ライフ』愛読者の皆さま、こんにちは。漢方スクールで講師をしている薬剤師の齋藤です。
店舗での漢方相談の経験をもとに、身近な症状と漢方薬の不思議な関係をご紹介します。
漢方薬を知ることで、ご自身の健康について考える機会になれば幸いです。

皆さんは「気」のつく言葉をいくつあげられますか?
元気、やる気、気温、天気、気持ちなど、たくさんありますね。この「気」、漢方では人体の構成成分であり、生命エネルギーであると考えます。健康な時には「気」が満ちていて、スムーズにめぐっていますが、ストレスや悩みなどの感情変化や、生活リズムの乱れなどがあると、すぐに固まってしまいます。

今回は、そんな「気」の塊のお話です

実際にご相談のあったお客様ですが、最初は食事がのどを通らないという感じから始まりました。ご主人の両親と同居が始まり、いろいろ気遣いして疲れているからかな?と思ったそうです。けれど、しばらくするうちに、のどに塊が詰まっているように感じ、唾を飲みこむのもつらく、歯を磨くときにも塊が上がってくるようで気持ちが悪くなってしまうようになりました。のどにポリープでもできたのかと、慌てて耳鼻咽喉科にかかり、レントゲンを撮り、内視鏡でも検査をしましたが何も出てきません。
医者からは「何もないので様子をみましょう」と言われてしまい、藁にもすがる思いで漢方相談に来られました。お話を聞くうちに、お客様がとても頑張り屋さんで、職場でも家庭でもいろいろなことを見事にこなしていることがわかりました。
私は素直にすごいなあと思い、「○○さん、本当に頑張っているのですね。でも時々ため息をついてあげたほうがいいですよ。」とお伝えしたのです。すると、ひとつため息をついた後に、堰を切ったように泣き始めました。よほど詰まっていたのでしょう…

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